
TeXで挿入する画像は一般的にEPSファイルです。TeXで画像を挿入するにはgraphicxパッケージを使用します。まず、プリアンブルに
\usepackage{graphicx}
と入力します。このパッケージを使用すると、EPSファイルを挿入する以外にもPDFファイルや、dvipdfmを使えばJPEGファイルを挿入することもできます。ただし、このパッケージを用いて画像ファイルを挿入するにはGhostscriptをインストールする必要があります。使用の前に必ずインストールして下さい。
graphicxパッケージで画像を挿入するには\includegraphicsコマンドを使用します。まずは、次のようにソースを書いてコンパイルします。

Mxdviでプレビューすると虎の絵が表示されます。虎が表示されていない場合は、Mxdviのメニューから「View > EPS View」を選択するか、Controlパネルの「EPS View」にチェックを入れて下さい。

この虎の絵のサンプルは、Ghostscript7.05をインストールしている場合は上のパスの通りの場所にあります。拡張子が「.ps」になっていますが、実際にはEPSファイルです。
EPSファイルには注意が必要で、Adobe Illustratorなど作成した縦方向のグラデーションのパスが含まれると、dvipdfmxで作成したPDFをAdobe Readerで開いても、画像を含むページが表示できなくなります。この問題を回避するにはグラデーションメッシュを使うか、グラデーションの0.01度ずらしてください。なお、プレビューでは問題なく表示されます。
\includegraphicsコマンドは
\includegraphics[オプション]{参照}
の形式で使用します。上の例のオプションは、幅を5cmにしバウンディングボックスの外を無視する設定になっています。オプションについて詳しくはTeXのマニュアルなどを参考にして下さい。
参照は上の例のように絶対パスでいいのですが、相対パスも使用できます。miではファイルのドラッグ&ドロップ操作に対応しているので、相対パスを利用するのが便利です。ただし、相対パスに日本語が含まれるとコンパイルできません。したがって、TeXを用いる上で、フォルダ名にはできるかぎり2バイト文字の使用を避けることをすすめます。
一度保存してあるTeXのドキュメントにEPSファイルをドラッグ&ドロップしてみてください。拡張子が「.eps」のファイルです。ここでは、さっき挿入した虎の絵をドキュメントと同じフォルダにコピーしてきて、拡張子を「.ps」から「.eps」に変更しました。コピーの仕方が分からない場合は、どんなファイルでもいいので拡張子を「.eps」にしてください。ドラッグ&ドロップすると、次のように入力されます。

このように、ファイルをドラッグ&ドロップすると、miではTEXモードの設定に従って文字列を挿入する機能があります。file=以降にはドキュメントからEPSファイルへの相対パスが挿入されるようになっています。ただし、残念なことにデフォルトではepsfigパッケージを使用するように設定されているので、EPSファイルをドラッグ&ドロップしてもgraphicxパッケージで画像を挿入できる形式にはなっていません。そこで、少し修正する必要があります。
上のソースの
¥epsfile{file=tiger.eps,scale=0.8}
部分を
¥includegraphics[scale=0.8]{tiger.eps}
のように書き換えればgraphicxパッケージで挿入できます。けれども、いちいち修正するのは面倒なので、TEXモードの設定を変更します。
メニューの「mi > モードの設定 > TEX」を選択して下さい。「モード"TEX"の設定」パネルで「Drag&Drop」ボタンを押します。現在の設定を確認するために「.eps」を選択して「編集」ボタンをクリックして下さい。すると「ファイルのDrag&Dropの設定」ダイアログが表示されます。

デフォルトの設定は次のようになっています。
\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\epsfile{file=<<<PATH>>>,scale=0.8}
\caption{キャプション}
\label{ラベル}
\end{center}
\end{figure}
ここで、<<<PATH>>>には相対パスが挿入されます。詳しいことはmiのヘルプに書かれているので参照して下さい。
この記述をgraphicxパッケージ用に修正すればいいのですが、デフォルトの設定に直接変更を加えるのは気が引けるので、この設定を無効にして新たにEPSファイルの設定を作ります。
まず、挿入文字列を尾コピーしてから拡張子のピリオドを削除して「OK」ボタンをクリックします。これで、この設定は無効になりました。次に「新規追加」をクリックして、拡張子を「.eps」に挿入文字列にさっきコピーしたものをペーストします。そこで
\epsfile{file=<<<PATH>>>,scale=0.8}
を
\includegraphics[scale=0.8,clip]{<<<PATH>>>}
に修正します。「OK」ボタンをクリックすれば設定は終了です。もちろん、ここで自分でよく使うようなオプションに変更もできます。これで、次からEPSファイルをドラッグ&ドロップしたときはgraphicxパッケージ用にコマンドが挿入されます。
ところで、Drag&Dropすると\caption{キャプション}が入力されますが、この部分は下の図のように出力されます。数字はドキュメントのはじめから順に振られます。

Adobe IllustratorやAdobe PhotoshopなどでEPSファイルを保存する時、EPSファイルにプレビューを保存するか聞かれます。EPSファイルをFinderでプレビューするには、ここでプレビューを保存しなくてはいけません。プレビューがあると便利ですが、Windows上で作成したEPSファイルをMac OS X上で使用する際には注意が必要です。
Windows版のIllustratorでEPSファイルにプレビューを保存した場合は、Mac OS X上で作成したものと異なりTeXで処理することができません。正確には、Ghostscriptが処理できずにエラーを出します。DVIファイルプレビューアのMxdviも、EPSファイルの表示をGhostscriptを用いて行っているのでこのようなEPSファイルが差し込まれていると画像を表示できません。

上の図はEPSファイルをmiで開いたところです。1行目の「%!PS」の前の文字列があるとエラーが出ます。そこで、コンパイルの前にWindowsのプレビューを削除する必要があります。そのためにmi toolsには「EPSプレビュー削除」「EPSプレビュー削除(AI)」という2種類のツールがあります。
「EPSプレビュー削除」ツールはmiで開いたEPSファイルからプレビュー部分を削除するツールです。miのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > G ファイル操作/ > D EPSプレビュー削除」を選択してツールを実行すると、\includegraphicsで参照しているEPSファイルのうちプレビューがあるものをリストアップし、実行を継続するとそれらのEPSファイルをmiで開いてプレビューを一括削除します。ファイルサイズにより時間がかかることがあります。
「EPSプレビュー削除(AI)」ツールはソースファイルの\includegraphicsで参照しているEPSファイルをリストアップし、Adobe Illustrator 10でプレビューを一括削除するツールです。miのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > G ファイル操作/ > D EPSプレビュー削除(AI)」を選択してツールを実行すると、プレビューを削除して上書き保存を行いますが、そのときのEPSオプションは次の通りです。
互換性: バージョン10
フォントデータを含む
CMYK ポストスクリプト
ポストスクリプト: レベル2
これらのツールを実行後にコンパイルすると、EPSが正しく表示されるようになります。
graphicxパッケージを用いると、EPSファイル以外にもPDFファイルを挿入することができます。Illustratorで作成したPDFファイルは、EPSファイルの挿入と同じように参照するだけで挿入することができます。したがって、PDFファイルに対してもDrag&Dropの設定をEPSファイルのときと同じようにしておくと便利でしょう。
PDFはMac OS Xの標準フォーマットとなったので、印刷プレビューによるPDFファイルの保存やスクリーンショットなど、いたるところで利用可能です。しかし、Mac OS Xの機能を用いて作成したPDFファイルにはBoundingBoxの情報がありません。BoundingBoxはTeXで画像を処理するために不可欠な情報で、画像の表示領域を定義しています。そのため、このままではコンパイルしてもエラーが出て処理できません。Photoshopで作成したPDFも同じくBoundingBoxの情報がありません。
しかし、心配することはありません。\includegraphicsのオプションにBoundingBoxの情報を記述すればいいのです。どうすればよいかというと、オプションにPDFファイルのサイズをピクセル単位で次のように入力します。また、PDFファイルのバージョンが1.3であれば、JPEGファイルと同様に、次に説明する「ebb」ツールでbbファイルを作ってやると簡単に挿入できます。
\includegraphics[scale=0.8,bb=0 0 幅 高さ]{参照}
こうすると、エラーを出さずにコンパイルできます。ただし、Previewにサイズをピクセル単位で表示させることはできないので、iPhotoを使います。iPhotoのライブラリに読み込めばサイズが表示されるので、この値をオプションに指定するだけです。

けれども、いちいちiPhotoを起動するのは面倒です。やはりここはmiの出番です。
前のEPSファイルと同じくDrag&Dropの設定をPDFファイルでも行います。今度は次のように設定して下さい。
\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[scale=0.8,bb=0 0 <<<IMAGEWIDTH>>> <<<IMAGEHEIGHT>>>]{<<<PATH>>>}
\caption{キャプション}
\label{ラベル}
\end{center}
\end{figure}
この<<<IMAGEWIDTH>>>と<<<IMAGEHEIGHT>>>は、画像の幅と高さを調べて入力するmiのDrag&Drop特殊文字列です。このように設定した後でファイルをDrag&Dropすると、コンパイルできるようになります。厳密には画像解像度が問題になるかもしれませんが、コンパイルできれば良しとします。
「dvipdfm」ツールを使うとJPEGファイルをPDFファイルに挿入することができます。まず、プリアンブルの\usepackage{graphicx}の出力オプションに
\usepackage[dvipdfm]{graphicx}
のように[dvipdfm]を追加します。JPEGファイルを挿入する部分にはEPSファイルのときと同じように\includegraphicsコマンドを使います。せっかくですから、JPEGファイルにもDrag&Dropの設定をしましょう。
\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[scale=0.8]{<<<PATH>>>}
\caption{キャプション}
\label{ラベル}
\end{center}
\end{figure}
拡張子「.jpg」に対してこのように設定した上でTeX関連のUNIXコマンドebbを実行します。miのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > H コンパイル関係/ > F ebb」を選択して実行すると、ソースファイル内の\includegraphicsコマンドでJPEGファイルを参照している部分を探し出し、そのJPEGファイルに対してebbコマンドを実行してBoundingBoxの情報を記述した拡張子が「.bb」のファイルを生成します。コンパイルはこのファイルを参照して実行され、DVIファイルが書き出されるのでmiのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > D dvipdfm」を選択してPDFファイルを作成して下さい。これで、PDFファイルにJPEGファイルを挿入することができます。
JPEGファイルの名前や参照のパスは日本語を含んでいてもいいのですが、その場合に「ebb」ツールを実行すると、参照の部分をコンパイル可能な形式に変換します。すると、下の図のように文字化けします。

ただし、変換したままでは他のOSでコンパイルができない可能性があります。もしも他のOSにソースファイルを移動する時は、変換された部分を戻す必要があります。そこで、上の図のように変換された参照の部分を選択した状態で、miのメニュー「編集 > 選択部分の漢字コード変換...」を選択します。「選択部分の漢字コード変換」ダイアログが表示されるので、UTF-8をチェックして「変換」をクリックすると、元の状態に戻すことができます。

複数の参照に対して一度に処理したいときは、miのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > F 入力補助 > G パス変換(SJIS->UTF-8)」を選択してツールを実行し、元の参照に戻します。このツールを利用するには、\includegraphicsコマンドの後ろに挿入された元のパスがなければいけません。
\inputや\includeコマンドを使用して読み込んだソースの中で、相対パスを使って画像を挿入する場合は注意が必要です。相対パスは、ParentFileからの相対パスでなければいけません。コンパイル時に参照している画像ファイルが見つからずエラーが出てしまいます。そのため、ドラッグ&ドロップで挿入された相対パスの修正が必要な場合があります。
読み込まれるソースファイルがParentFileと同じフォルダにある場合は修正しなくてもよいのですが、違う階層のフォルダにある場合はパスを修正しなければいけません。そこで、「パス変換(ParentFile)」ツールを使って相対パスの修正を一括して自動処理します。miのメニュー「ツール > X pTeX on MacOSX > F 入力補助/ > F パス変換(ParentFile)」を選択してツールを実行すると、エラーなしにコンパイルが実行できるようになります。
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